3月に入り、企業の採用活動が表面化してきました。
就活生をもつ保護者の方に向けて、子供が就職活動で失敗しないためのポイントをお伝えします。
親が知らないことでも子供は知っている
私が就職支援を開始した20年前と現在で大きく変わったことの一つに、情報伝達手段の多様化が挙げられます。昔は活字(読書)や座学(ナマ講義)が中心だったかもしれませんが、現在はスマホを中心にIT機器を通じて(細切れの情報を、加工してまとめ)若者の情報量が増えていることを認識しましょう。
親と子の年齢差は、20〜40年ほどあるわけですから、この間に常識も大きく変化しています。「昔は○○だった」という話は、酔った勢いでする程度に留めておき、実際の就活で子供が困っていることを聴きながら「親が」情報収集してください。
そして、「30年前の就職活動は○○だった」と上から語るのではなく、子供の就活をねぎらいながら教えを請うスタイルで話を聴くのです。
昔は就活シーズンになると、R社から分厚い資料が自宅に届き、それを見ながら応募する企業を選んでハガキでエントリーしていました。ところが、今は人気アーティストのチケット並にの説明会争奪戦が繰り広げられていますから、PC環境を整えてあげたり、その時間にネット回線を使わないようにしてあげるという形で協力できるかもしれませんね。
もし、希望する企業の説明会参加が決まったら一緒に喜んであげたり、志望する業界に詳しければ、世間ではあまり知られていない中堅企業をリサーチしてあげることもできるでしょう。
子供の口から、名前も聞いたことのない企業名が出てきたら、「その会社は何を売りにしているの?」と聴いてあげてください。調べていれば喜んで教えてくれるでしょうし、調べていなければ「面接前で良かったね」と準備ができることでしょう。こうしたやり取りは、エントリーシート作成準備にもなるし、面接試験の練習にもつながるのです。
ポイントは、教えてあげるのではなく、協力してあげることです。
子供が知らないことは加工して伝える
とはいえ、親が何も教えてはいけないわけではありません。長く生きている分、多くの経験をしているはずです。その経験をどのように役立てられるか考えて、受け入れやすい形に加工してあげれば良いのです。
例を挙げると、営業職であればスーツのお手入れの仕方や着こなし方をアドバイスできるでしょう。事務職であればWordやExcelが業務の中でどのように使われているか具体例を教えることができるでしょう。サービス業であればバイト敬語を直してあげられるかもしれません。ここでも、教えるのではなく、褒めながらアドバイスする話術があればなお良いです。
私の場合は、就職支援の現場を見てきた経験をもとに「悩んで動かないまま後悔するよりも、まずは行動して失敗してから悩む」ことを子供に教えました。その理由は、次のパートで説明します。
就活は答え探しじゃない
日本における学校教育は、先生が持っている答えをいかに早く導き出すかという答え探しの要素が非常に強いことにお気づきでしょうか。最近ではディスカッションをさせる学校もあるようですが、日本に根付いているとは言いがたいです。
仕事に正解がないように、就職活動にも正解はありません。志望企業から内定が得られることを「正解」と考える人が多いように感じますが、正しかったかどうかは辞めるときに分かるものだと私は考えています。だから、会社に入るときよりも、辞めるときの方が大事だと思うわけです。
仕事ですと、業務を終えた後に必ず振り返りますよね。振り返ることで、次をより良くできるよう改善することにつながります。就活でも、上手くいったら「なぜ」上手くいったのか。上手くいかなかったら「なぜ」上手くいかなかったのか。これを考えることで、自然と経験値が上がります。
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