公務員を辞めるという選択
20年間のキャリアに終止符
日付が変わった直後の投稿ですが、20年と5ヶ月勤務しました前職を辞めまして、新しいキャリアを歩むことにしました。
20年ほど職業訓練指導員をしてきましたが、安定志向の学生・訓練生が増えてきたのが近年の印象です。
これからのキャリアを切り拓く方にとって、私のような選択をする人間もいることをお知らせできればと思います。
「安定」はうらやましい?
私が公務員として勤務している間、多くの方から「うらやましい」と言われました。訓練生からも、「先生はいいよね、公務員だから、、、」という言葉を幾度と無く耳にしました。
私は、卒業からすぐ公務員になったわけではなく、従業員80名程度のソフトウェア開発企業から転職していますので、中小企業の大変さと、安定企業(公務員)の大変さの両方を経験しています。
最初は「安定」が続くと思っていた
私が転職した平成7年は、就職氷河期世代と呼ばれ、新卒で正社員になれない人がたくさんいた時代でした。
中小企業からの転職で、地方公務員になれたというのは自分としては「かなり頑張った」成果でした。これで、定年までぬくぬく仕事ができて、定年後は年金生活が送れるのだと期待したのは今でも覚えています。
実際、転職前の260万円から、転職後は340万円と年収がアップしましたので、自分がちょっと偉くなったような勘違いをした時期もありました。
いつまで続けるの?
最初の職場で一緒に働いた同僚(先輩)から、「小野田さんは、いつまでこの仕事を続けるの?」と聞かれたのはショックでした。
まさか、公務員になった人間が退職を選択するなどとは考えもしなかったからです。
しかし、定年まで公務員を続けることも選択だし、自営業だった父親のように退職して独立することも選択できるのだという種がこのときに撒かれたような気がします。
組織の方向性と自分の方向性のギャップ
公務員もサラリーマンですから、組織や上司の考えに従わなければいけません。
採用から10年くらいは言われるがままにしごとをしていましたが、30代半ばくらいから、このままではつまらない人生になると考えるようになりました。
他人の人生の分岐点に関われる仕事なのに、ただ型通りの支援だけをしていては自分が関わる意味がないと感じてしまい、少しずつですが学生・訓練生(クライアント)の未来をどうやって切り開けるかを考え、現場で工夫していきました。
この方向転換は、「変化を嫌う公務員的な組織」において、かなり煙たがられる要因となりました。
辞めることを本気で考えたら眠れない
自己実現が阻害されているような気持ちになり、辞めてやりたいという想いが強くなっていきました。しかし、今の自分に何ができるのか、何が必要とされているのか、そんなことを考えると現実的には辞められないのだと気づき、悔しさで眠れない日が続きました。
そこで、技術指導に重点を置く他の指導員とは逆の方向、つまり「ヒューマンスキル向上」を第一に取り組んでいくことにしました。他の先生からは、「大して技術を持っていないのにヒューマンスキルに逃げた」と思われたことでしょう。
それでも、自分を一番生かせる分野が何であるかを考え、8年ほど必死に頑張りました。5年くらい真剣に取り組んでいると、求人をくださる企業の方からの評価もいただけるようになり、同僚からも少しずつ認めてもらえるようになりました。
クレームに弱い組織が決断を後押し
退職を決意したのは、今から1年半以上前でした。組織の改変もあり、2年連続で職場を異動することになり、いまの組織での評価をネガティブに感じました。
多くの問題を抱えながら、妻に「1年半後に退職する」という自分の決意を話しました。
その1ヶ月後に、いわれのないクレームに遭い、はじめて療養休暇を取得することになりました。
決意を口にし続けた結果
職場組織以外の交友関係を少しずつ広げていた中で、「あと○○ヶ月で辞めます」と宣言し続けた結果、覚悟が生まれたような気がしています。
実際、父親の仕事を手伝うとはいえ、収入のめどがたたない中、退職の1ヶ月前からフリーの案件を紹介していただけるようになりました。
安定企業や公務員が「退職する」と言っても、信用出来ないのかもしれません。確かに、周りで多くの方は「辞めたい」と言いましたが、辞めていった方は「辞めます」という言葉が最初の決意表明でした。
私の「辞めます」も、単なる愚痴のように思われていたのかもしれません。
半年が勝負
半年は、自分の信念を貫くつもりで覚悟を決めています。辞めるために、無収入の状態が1年続いても困らないように節約・貯蓄しましたし、子供の教育費は少なくとも学校卒業まで確保しました。
昨年、仕事をしながら開発した「就カツ!」というカードゲームは、退職後の方向性を本気と感じていただけるだけの効果はあったようです。
今月から、いくつが新しい業務は発生していますが、比較的スケジュールは空いていますので、自分にしかできないことをどうやって磨いていくか思慮を重ねたいと思います。
半年後に、この記事を読み返してみて、恥ずかしくないよう突っ走ってみます。