キャリアコンサルティング技能士(2級)を目指している、じゅん です。

昨日まで、4日間にわたり学科試験の分析をしてきましたが、一区切りついたので、
なぜキャリア・コンサルティングが必要とされているのか?
について触れたいと思います。
多くの理由があるのでしょうが、私が考えるのは次の3点です。

1.日本特有の終身雇用制度が崩壊しつつあり、転職する可能性が高くなっている

私は、現在40歳ですが、最初に就職したときには転職という考えはありませんでした。
ちょうど平成不況(バブル崩壊後)の時期で、就職難に入りかけというタイミングでしたが、平成5年に就職したとき(中規模のソフトウェア会社でしたが)が、会社の存続とか、転職とか、そういうことは考えもしませんでした。

そんな私が、転職したのは2年後の平成7年。
会社の上司と飲みに行った席で、会社の売り上げが激減しているという話を耳にしました。
(いま思うと、次長がペーペーにそんな話をしてくれたのは貴重な経験でした

あまり詳しく書いても、専門的になってしまうので簡単にまとめると、
コンピュータの価格がどんどん下がっている時期で、1台当たりの利益率がピーク時の半分程度まで落ち込んでいたようです。
そのため、売り上げを維持するためには、バブル崩壊後で企業が倒産している中、さらに多くの顧客へセールスする必要がありました。

2年目冬のボーナスが、額面で57,000円。
仕事の評価を報酬でしか判断できない若者ですから、この金額はショックでした

そのとき、この会社では安心して恋愛も、結婚もできない。
そう判断し、転職を考えるようになりました。
実際に家族を養っていたら、なかなかその決断には至らないと思いますが、そのときは実家住まいの独身でしたから思い切って転職へと舵を切ることかできました。

昨年、何かと話題に上った、パ○ソニックさんや、シャ○プさんなど、業界最大手と言われる企業ですら傾いてしまう時代です。
企業は、「会社組織」を守るために、不要な人材を切り捨てます。リストラ部屋という恐ろしい部署が存在するんですもんね

最近では、Appleさんの企業評価が低下している話題も新聞で目にします。
どんなに大きな企業でも
10年後、20年後まで安心だという保証はどこにもありません。

公務員のような身分保障がされている環境であれば、定年までの給与は保証されているのかもしれませんが、国家公務員の給与を7%下げるというような話を耳にすると、公務員も安泰とはいえない時代です。
(公務員は、給料が下がらないという前提でローンを組んでいる場合が少なくないので下がると大変)
埼玉県の教員の退職金のニュースなどは、実際その立場にいなければ心情は理解できませんが、2か月早く辞めると、仕事をまったくしていなくても約60万円多くお金がもらえて、最後まで仕事を全うすると、2か月何もしなかった人より約60万円もらえるお金が少なくなる。
そんな制度を実施する組織にも問題はあるような気がしますが、いかがでしょうか。

2.少子化の影響で、モノに囲まれて成長した子供が、目的意識を持たないまま大人になっている

私が小学4年生のとき、任○堂さんから、Family computerが発売されました。
そこから、家庭用ゲーム機が爆発的に普及し、ブームを作ってきました。
その頃、子供たちが持ち歩いている娯楽製品は、せいぜい「ゲームウォッチ」くらいです。

中学、高校生の頃は、固定電話しかないので、友人と電話するにも親の顔色を窺いながらかけていたし、長電話したら怒られたものです。

ところが、今の子供たちは、小学生から携帯電話を持たせているので、親の目を気にせず好きなだけ電話をかけてしまう。
(同じ携帯キャリアだと通話料が無料なので、親にもどのくらい利用しているか把握できない)

さらには、パケット定額制度を適用している子供にとっては、オンラインゲームもやり放題。
仮想通貨(携帯電話の中で利用できるコイン)を内緒で購入して、請求額に驚く親も少なくないようです。

最近では、小学3年生の2月から中学受験に備えた塾通いが始まりますが、子供が自ら目標を持つことは珍しく、ほとんど親の意思で強制的に通わされます。
同時に、習い事(スポーツ系、芸術系)にも通うので、1週間のうちフリーになる曜日がない子供も少なくありません。

この生活では、子供たちがやりたいことを思いつく余裕がないまま、大人の都合でスケジュールを立てられるので、「考える分野」がどうしても偏ってしまいます。

いざクライアントから話を聴いてみると、自分の進路について一度も考えたことのないまま大学生になるケースも珍しくありません。
特に、高校、大学と推薦(筆記試験なし)で進学している人にとっては、社会人へのハードルがとてつもなく大きくなってしまいます。

実際に、キャリア・カウンセリングを実施している中で、
初めてガチで受ける試験が入社試験
という方もいますし、そういう方は
もし、採用試験に落ちてしまったらどうしよう
とマイナスな部分に目を向けがちです。
本気で挑んだ試験の経験がないのですから仕方ないことだと思います。

そうならないよう、中学2年くらいまでにキャリア教育を実施して、将来何でメシを食っていくのかを考えるきっかけを作るべきだと私は考えています。

3.個性を客観的に認めてくれる人が少なくなり、大勢に流されていることで安心する環境からの独立

これは2番目と関連していますが、能力には先天的なものと、後天的なものがあります。つまり、遺伝的要因と、環境的要因です。
確率的には、それぞれ50%と言われていますが、遺伝的要因を持つ親が同居しているなら、結果的に遺伝的要因はそれ以上になるでしょう。

親は、何かこ
だわりを持って子育てをしていますか?
代々続いている会社の経営者だったり、医師の家計だったりすると、生まれたときから将来の進路が決まっているのかもしれませんが、多くの親は勤め人でしょうから、子供がやりたいことをやらせてあげることができます。

収入によって左右されることがあるかもしれませんが、何をやらせるかは自由です。なのに、みんな同じようなことをしています。
子供たちも、同じ塾に通う友達とばかり付き合うようになるし、同じ習い事をやる友人ばかりです。
小学生くらいの子供には、親から与えられた躾、知識、経験しかありませんから、親の言うことに従うしかありません。

今から、20年以上前に中学校の部活の練習を見に行くなんて考えられませんでしたが、最近の保護者が中学の部活練習を見学する姿を何度も目にしています。

高校の入学式、大学の入学式、さらには入社式にまでついてくる保護者がいるというのだから驚きです。高校の入学式までは、親が来たかもしれないけど、卒業式はいませんでしたね。
(もしかしたら、大学の入学式についていかない保護者がいることが驚きだったりして)

何が言いたいかというと、子供たちが自分の人生について、自分の正直な想いを聴いてくれる環境、考える環境というものが乏しいように感じるのです。

高校はおろか、大学は出て当たり前と考える親が多いですが、大学は勉強するところではなく
研究するための高等教育機関
ですから、目標設定を先延ばしにして、目の前の受験だけを考えても肝心なことは何も進みません。
大学も経営していくためには、受験料、入学金、授業料などで収入を得る必要があり、大学全入時代となった今、大学生は質より量となっています。

大学生のナマの話を聴くと、多くは大学3年生になり、キャリア・ガイダンスに参加して初めて自分の価値観や個性について考えるケースが目立ちます。
自分のやりたいこと、自分が手に入れたいことを考えなくても、何も困らずに生活することができてきたからです。
大学3年生、仮に20歳とすると、20年間考えたことがなかったことを、就職活動が本格化するまでの数か月で真剣に考えなければなりません。
中学受験ですら、3年間塾に通います。高校受験、大学受験も、現役合格を目指して予備校に通います。
なのに、生涯賃金を大きく左右する、就職のための準備が数か月だなんて、あまりにも短いとは思いませんか?

だから、私は中学時代に、意味のあるキャリア教育をすべきだと考えます。
中学2年のときに職場体験を組み込んでいる中学校が増えているそうです。
その機会と連動して、キャリア教育を実施することで、
目の前の高校受験にとどまらず、自分の人生について自分で考えるというきっかけを子供たちに与える
ことになると考えています。

形だけのキャリア教育から脱却し、個別の対応ができるようキャリア教育に対する認識を変えていけるよう頑張ることが私の使命だと捉えて取り組んでいます。

この話をすると、ついつい熱くなってしまうのですが、かなり長くなってしまいましたので、本日はこの辺で終了します。